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校長室から

「2人の自分」を見つめ、見えない「力」を信じ、そして「生きる」(たいさんぼく6月号)

 梅雨の始まりを感じる頃となりました。まだまだ朝晩は涼しい日が続いています。台風の発生も聞かれ、5月末からの各学年の行事にも少なからず影響が出ています。そんな中で生徒たちの疲れも少し見えてきましたが、それでも授業はしっかりと集中し、しっかりと行事をこなし、落ち着いた生活を送っているように感じています。ご家庭でも子供たちの活動のために多方面でご支援ご協力いただいておりますことに深く感謝いたします。

修学旅行先で、あるクラスの生徒と「座禅」を体験してきました。そこで和尚さんが様々なものの考え方を教えてくださいましたが、私が一番印象深かったのは「2人の自分」と「人の力は見えない」という話です。

背筋をしっかり伸ばして頑張って座っている生徒に、和尚さんは「今日はどんな気持ちできたのか」という問いかけをしました。生徒たちが座禅をすることに対して少し不安な気持ちを伝えると、「誰もやりたいと思って座禅をする人はいない」と仰いました。そして「それでもなぜ一生懸命座禅をしているのか、どちらも本当の自分である。その2人の自分を見つめなさい」と。生徒たちはふらつきながらも最後まで座り続けることができました。そして多くの生徒が自ら合掌して和尚さんから警策(けいさく)で背中を叩いてもらっている姿に私は少し驚きを感じました。

辛いこと、嫌なことを進んでやりたいとは誰も思わないが、仲間と一緒に同じ方向を向いて、大変なことを全員でやることで、もう1人の頑張る自分が出てくる。この座禅で「不安な自分」と「それでも頑張る自分」の「2人の自分」感じることができた生徒は多かったと思います。また誰が賢いとか力があるとか言うけれどそんな力は誰にも見えない。一人一人の力は目に見えないからいい。もし目に見えたら人生はつまらない。見えないからこそ、「自分の力」を信じて進むことができるのだとも仰いました。そして「人は生きるために生まれ、生きることが意味なのである。生きろ。」との力強い言葉をいただきました。日々の生活の活動や受験勉強など、困難だけどやらなければ進まないことに立ち向かう時は必ず来ます。これからの長い人生、迷ったときは、この日のことを思い出してくれるといいなと感じました。生徒のいい表情に、私にとっても忘れられない時間となりました。

 1年前、校長就任時に頂いた胡蝶蘭(こちょうらん)の花が咲き始めました。2年目の花を咲かせることができたことをとても嬉しく思っています。でも花は環境があればあたりまえに咲くのです。学校は子供たちが自分の力を信じてあたりまえに成長できる環境でなければならないと感じています。これからの子供たちのために土をつくり水を与え続けること。それが今の私の生きる意味なのだと、天龍寺の薄暗い禅堂の中でぼんやりと考えていました。

※武南警察署より「自転車マナーアップ推進校」に指定されました。

安全な自転車の乗り方を一人一人がしっかりと身につけられるよう指導していきます。